まちの中で楽しめるもの? バザールをやろう!


富山のまちづくり、市民自ら考えて、勉強して、そして自分たちでも何かできることはないのか?

できれば富山市の職員と一緒にまちづくりがしたい。そんな思いを持った仲間たちの集まり「まちづくりフォーラムとや街(まち)っく(旧名富山市市民のまちづくりの会)」があります。

最初は富山のまちの歴史、経済、自然などの研修やワークショップを熱心に行いました。

でも、1年たった頃、まちづくりは部屋で勉強をやっていてもしょうがない、やっぱりまちで何かやりたいね。そんな意見が自然と出てきました。まちづくりはやっぱりコミュニケーションだ、出会いだ。そして、みんなで盛り上がったのが、"バザールをやろう!"ということでした。

めざせ!パリの朝市!その1


やりたいことが決まった私たち「まちづくりフォーラムとや街っく」のメンバー。さっそくどんなバザールにしようかと、話し合い。

そんな時、あるメンバーが「どうせやるなら、こんな市にしたいな~」と1冊の本を差し出しました。

「パリの朝市ガイド」というその本に出ている、パリの朝市の美しさ!豊かさ!ファッションや花の都パリってこんなに朝市がいっぱいあるのだね、と一同びっくり。

そして、現地に行って、この目で確かめてこよう!と、2ヶ月後にはパリへ。

めざせ!パリの朝市!その2


パリはグルメの街でもありました。そして、そこにあるのは、暮らしを心から楽しもうとする人たちが集まる、パリならではの朝市。

4日間で回った朝市は6ヶ所。パリの朝市の魅力をみんなにも見て欲しい!と写真はもちろん、ビデオにも撮ってきました。

帰国後、ビデオを約20分に編集し、色々な機会に、様々な人たちに見てもらいました。

元気な行政との出会い


市をやろう!と言い出したけれど、どうやって始めればいいのか…。

まず、会のメンバーと、開催場所の候補を決め、地域の人たちに話して、“2年計画で創っていこう…”とワークショップを始めることにしました。

その頃、会の動きを知った富山市職員のバックアップで、富山市中心市街地活性化推進室で市への思いを話すことができました。

ちょうど富山市は、きれいに整備された大手モールの広い空間をもっとうまく活用できないかと悩んでいたところでした。

さて、市場を目指す最初のワークショップをやったところ、参加者は6人だけ。でも、その市職員もいました。富山市長も大きく応援して急展開。

それから約8ヶ月後には、「越中大手市場」として華々しくオープンすることになろうとは…。

元気な行政とそれを支える感度のいい行政マンたちがいることは、まちづくりには大事な要素だと、実感しました。

市民と地域と行政の協働はじまる!


2月の出会いから、翌月には富山市が音頭をとって地域の商店街の方たち、まちづくり専門家との初顔合わせ。

定期的に開催するバザールには、地域の方たちの理解と協力が大切。しかし、最初は、地域の人たちも半信半疑。

何度か熱心な話し合いを持ち、少しずつコミュニケーションがうまく取れ始め、“手探りながら、このバザールをいっしょにやっていこう”という想いが、皆の心に広がっていきました。

そして、当初の3年間は第三セクターの(株)まちづくりとやまからの助成を受けることになりました。まちづくりとやまは、街角パフォーマンス(素人が街角でパフォーマンスできる)を越中大手市場に合わせて開催したり、テナント申し込みの受付、市場のPRなど大きく支援しています。

越中大手市場がこだわったこと


せっかくパリまで行って見てきたパリの朝市。

少しでも近づきたい私たちのこだわりは、フリーマーケットでもなく、観光朝市の雰囲気でもありませんでした。

全体的な景観にもこだわって統一感のあるテントを使用し、地面にブルーシートを敷いての商品直置きは禁止。 募集するテナントさんも新鮮な野菜、できればオーガニックなもの、こだわりの味や自慢の手作り品を売ってくれる人。富山の豊かさを感じられるような、幸せいっぱいの市にしたい!

来た人たちがゆったりと過ごせるように、オープンカフェのスペースも設けて、そこで開催されるイベントを楽しんだり、食事をしたり、お茶を飲んだりできる…。

「買うだけではなく、コミュニケーション滞在型の市を目指す」というコンセプトに賛同して、出店したいというテナントさんが少しずつ集まってくれました。

そして、そんなテナントさんにはリピーターが増え、何店か名物テナントさんも出てきました。周辺地域の方が、歩いて、自転車で、お目当てのお店に来て、世間話をしたり、笑ったり、時には隣のお店の人も話に加わったり…。

年に一度のイベントとは違う、地域の人びとの暮らしに溶け込んだ、日常風景としての市の姿。

まちづくりの大切な要素として始まった越中大手市場の中で自然と生まれるにぎわいとコミュニケーション。これこそが、私たちが描いた市の姿でした。

越中大手市場の仲間たち(テナント編)

 

この越中大手市場では、季節の野菜や漬け物、お餅や寿司などの食料品やその加工品、たこ焼き、焼きそばなどのおなじみの食べ物から、手作りソーセージのホットドッグ、コロッケ、ピロシキ、コーヒーにケーキなどのこだわりの食べ物。そして手作りのカントリードール風グッズや和小物、アクセサリーやワンちゃんの洋服など。

それぞれに、個性的な味や、センスある品々。そんなテナントさんの中には、ひときわ個性的な方たちも仲間として、越中大手市場に出店されています。

●「天使の伝言」を伝えてくれる?「愚知聞き屋喜文治」さん。 ●そのまま育てられるビン入り日本原産めだかセット(もちろん本物!)で、めだかを育ててくれる会員を募集するという超個性的なお店「めだかを不夜想会」さん。 ●和小物、とびっきりおいしい手作りケーキのお店の女性の方々が、ワインを飲みたいばっかりに開いた、カフェ。 ●ワンちゃんへ愛情たっぷりのペットの洋服屋さん「ステッチハウスドック」さん。 ●最初からの、「ストロベリーフィールド」さんは、カントリードール風の手作り小物と、話し好きで陽気な性格が人を惹きつけます。 ●手作りの洋服の販売もしながら、趣味で始めた手作りこんにゃくが大人気のブラザー新湊さん。 ●どこに行っても列ができる飛騨コロッケさんは、親子で大活躍。

この他にも、まだまだ多くの個性派揃いの越中大手市場は、魅力的なテナントさんたちがかもし出すふしぎなハーモニーがあります。

越中大手市場の仲間たち(世話人、サポーター編)


テナントさんに負けず劣らず、個性的かつ情熱的、楽天的?な世話人とサポーターのみなさん。

「まちづくりフォーラム とや街っく」メンバー、商店街の方々と、担当や元担当の市職員がボランティアで本部活動しています。

活動日はもとより、日常的に世話人と行政と「まちづくりとやま」の関係者が電子メールで意見交換しています。

衛生面でアドバイスしてくれる市の保健所、親身になってくれる警察署など多くの方々の協力でなりたっています。

事故の後遺症のリハビリのために始めたバルーンアートをボランティアでやってくれる人、イベント実施時には、快く手伝ってくれるお客さんや元出店者などなど。

また、世話人とサポーターのメンバーで、なぜかベトナムにある枯葉剤による障害児の施設を訪ねて旅行したり、倉敷市や高知市、飯田市へ市場やまちづくりの先進事例を視察したり、互いに世界が広がる経験を共にするようになりました。

これから、そしてもっと楽しく!その1


市民が創る市として、試行錯誤でなんとか3年が過ぎ、その間いろんなイベントや試みを、テナントさんたちと一緒にやってきました。

課題や問題もたくさんあります。屋外での市は天候しだい。悪天候には勝てません。天気がよくてもなぜか人出の悪い時もあります。

そんな時は「お客さんがいなくても、私たちが楽しもうよ!」が合言葉です。

自分たちがまず楽しめる市、世話人やテナントさんたちも仲良く、互いに励ましあってやろうという雰囲気が、悪い状況のときは本当に救いになります。

都合で出店できなくなったテナントさん、越中大手市場に出店したことがきっかけで本業が忙しくなって出店できなくなったテナントさん。そういう人たちも、力強い応援団になってくれています。

これから、そしてもっと楽しく!その2


これからも、越中大手市場が、いろんな人を惹きつけ、巻き込み、さらに人が集う場となっていくような気がします。

2005年度からは、隣の富山市民プラザとイベント開催で連携がはじまりました。

まだまだ試行錯誤は続きますが、おいしい食べ物とすてきなモノと、そして人との出会い、富山の豊かさと幸せな時間・空間を、もっともっと感じて欲しい。

そんな想いをみんなで一緒につないでいく越中大手市場。

これからももっと楽しくなっていきますよ!

2005年5月22日:越中大手市場事業実行委員会